ABA(Applied Behavior Analysis 応用行動分析学)を自宅で実践した記録です。息子のユウが4才のときに【自閉症スペクトラム】と診断され、そこからABAの療育が始まりました。息子が得意なことはどんどん伸ばしていきたいし、苦手なことはしっかりサポートしていきたい。いろんな方法を試行錯誤しながら息子に合ったトレーニングを模索中。何気ない息子との日常やトレーニング内容を記録していきたいと思います。
ある日、友人からこんな話を聞きました。
「こどもが小学一年の頃、時計の学習につまずいて大変だった。もっと早く時計に慣らしておけばよかった。」
友人の子は色んなことをよく知っていて好奇心旺盛な定型発達の男の子です。その子が大変なんだったら息子は間違いなくもっと大変だよね。これがキッカケになって時計を意識する生活がスタート。
時計の読みかたを学習する前にやらなくてはいけないことがたくさんありました。
アナログ時計を用意する
まずは時計の購入です。こどもは丸い形の物が好きだとネットで読んだことがあるので形は丸型。数字の色は黒でシンプルなものを選びました。
それを一日に何度も目に入りやすいリビングに取り付けます。
今まで時刻や時間はスマホで確認していたので家には時計がありませんでした。だから時計そのものに息子は興味津々。
「あれ知ってる!いち(1)だ!」と時計の数字を指さして嬉しそうに読んでます。つかみはOK!!
数唱する・数字を読む
時計は60進法なのでここまでの数字をマスターする必要があります。
息子は50までの数唱はできるけど数字は30までしか読めないのでカードを使ってトレーニングしました。
目標は年長までに60までの数唱と数字が読めるようになること。さらに欲をいえば100までの数唱と数字が読めるようになることです。
【トレーニング方法】
1~100までの数字カードを作る。
画用紙を切って黒のマジックで数字を書いたものをラミネートしました。
数字を言いながら床にカードを[1~10、11~20、21~30・・・]というふうに並べていく練習をします。
1・2・3・4・5・6・7・8・9・10
11・12・13・14・15・16・17・18・19・20
21・22・23・24・25・26・27・28・29・30
まずは30までやりました。並べてるうちに数字の法則に気づいたようです。31~40までのカードを渡すと、すでに並べてあるカードを見ながら置いていきました。
1・2・3・4・5・6・7・8・9・10
11・12・13・14・15・16・17・18・19・20
21・22・23・24・25・26・27・28・29・30
31・32・33・34・35・36・37・38・39・40
31~40までのカードを読んだあと、一の位(赤色の部分)を上から順番に指さして「ぜんぶ同じ数字だね。」と伝えます。「ほぉ~。」と言いながらうなずく息子。本当に分かってる(笑)?
それから十の位を指さして上から順番に指さして「見て見て。1、2、3の順番になってるよ。」と伝えます。
さらに41~50までのカードを追加。すでに並べてあるカードを見ながら慎重に置き進めていきます。ゲーム感覚で楽しいのか終始ニコニコ。並べ終わったら順番に数字を読んでいきます。
31~50までは数字のかたちを覚えるトレーニングと併用しながらやっていきました。
数字ポスターを活用する
100均でお風呂の壁にペタッと貼りつけるポスターを購入。数字が100まで書かれています。入浴中に数唱したり数字を見て学習できるナイスなアイテム!!
点つなぎプリントを活用する
年中の中旬くらいから点つなぎプリント(点をつなぎ終わったらイラストが出来あがるやつ)をはじめました。この時点で数唱は80まで、数字は60まで読めるようになっています。
最初は10までの点つなぎからやりはじめて、その次は20まで。そして30、40、50、60と数字をどんどん増やしていきました。
60以上の点つなぎは息子には難しすぎました。やったのは一回だけです。
長い・短いを理解する
時計には長針と短針があるので『長い』と『短い』は完全にマスターしてほしい!!
家にある物やイラストを使ってトレーニングしていきます。
息子のお気に入りのオモチャ[プラレール]。それの直線レールっていうのかな?あれの長いやつと短いやつを使いました。
【トレーニング方法】
1トランポリンに(テーブル代わりに使用)長いレールと短いレールを置いて息子と向かい合わせに座ったら、「今からママが言うことをマネしてね。」と伝えます。
2長いレールを指さしながら、ママ「長い」息子「長い」。今度は短いレールを指さして、ママ「短い」息子「短い」。
3次は長いレールだけを重点的にやります。
長いほうのレールを指さして、ママ「長い」息子「長い」のやり取りを三回くり返します。
4長いレールを指さして「これは?」と訊いてみます。正解したらめちゃくちゃ褒める。
もし間違えたり分からなかったりしたら正解を教えてそれを答えてもらえばOK。そのあともう一度、③と④をやります。
レールの他にも、お箸・鉛筆・バナナを使って①~④までトレーニングしました。
時計の絵本で読み聞かせをする
年中の後半くらいから[おさるのジョージ]が好きになった息子。
それを知った私の友人が[おさるのジョージ いまなんじ?]の時計絵本をプレゼントしてくれました。これを読み聞かせ本に追加。
幼稚園に行って活動する楽しいお話で、場面のストーリーに合わせて長針や短針を動かせます。息子のタイムスケジュール(7時~14時)とリンクしていたのですんなりと本に入り込めました。
正時の「○時」しか学べないけど息子には充分。時計に慣らすのが目的なので問題なしです。
時計を見るように誘導する
正時にできるだけ声をかけて時計を見るクセをつけました。
「ユウ(息子)時計を見て。いま朝の7時だね。」「ユウ(息子)時計を見て。いま朝の8時だね。」
「いま夜の7時だね。」「いま夜の8時だね。」
園が休みで家にいる日は、おさるのジョージの内容に沿って「今○時だね。ジョージは砂遊びしてるよ。」と声かけしてました。だからいつも時計とにらめっこです(笑)。
一年間つづけた結果
年中の終わり頃には数唱は100まで、読みは80まで出来るようになりました。
『長い』と『短い』は理解してるけど、時計の長針と短針がよく分からないみたい。
リビングの時計や時計本の長針と短針はどっちも同じ色だし、長さが極端に違うわけでもないから見分けるのって難しいよね。
だから「長い針が3のところにきたら着替えるよ。」とか「長い針が6のところにきたら歯をみがくよ。」というふうに生活のリズムにのせて声かけしてました。
時計を教えていくのはこれからだけど、早い段階ではじめることができて本当に良かった。キッカケをくれた友人に感謝です!!