ABA(Applied Behavior Analysis 応用行動分析学)を自宅で実践した記録です。息子が4才のときに【自閉症スペクトラム】だと診断され、そこからABAの療育が始まりました。息子が得意なことはとことん伸ばしていきたいし苦手なことは出来るようになってもらいたい。いろいろな方法を試しながら息子に合ったトレーニングを模索する日々。初心を忘れない為にも息子とのトレーニング内容をしっかり記録していこうと思います。
息子は体に何かが触れることにたいして敏感です。
触覚の過敏さは色々あるけど、今回は息子が人とのかかわりで苦手なことを書いていきます。
【体や髪に触れられるのが苦手】
息子は不意に頭をなでられたり体に触れられたりするのを嫌います。背後から突然(予期しない状況で)のボディタッチはもちろん、正面から触れられるのも苦手。
大好きな友だちからのタッチでも泣きそうな顔になります。わたしが息子を抱きしめながら頭をなでるとニコニコ。でも正面から頭をなでようとすると、目をギュッとつぶってカメのように首をすぼめます。毎回じゃないんだけどね。
園では先生がプールから上がった息子の体を拭こうとすると、急に全身がこわばったそうです。
お昼寝のときは体をさわる(トントン)とイヤがったりくすぐったがったりして、いつも体に力がはいってる状態だったといいます。
【手をつなぐのが苦手】
園ではお散歩したり遠足だったり運動会だったりと、先生や友だちと手をつなぐ機会がたくさんあります。でも息子はあまり手をつなぎたがりません。先生の言うことをきちんと聞いて集団のルールは守るけど、できることならつなぎたくないといったところ。
今のままだと園の行事を楽しめないだろうなぁ。友だちから誤解されることもあるかもしれない。
【くすぐったがり】
息子は2才から美容院デビューしてますが、そう簡単に髪を切らせてくれません。もうくすぐったがってくすがったがって。
美容師さんの指先が髪に近づいただけでくすぐったがるからカットが進まないんです。
お風呂で髪を洗ったりするのは平気なのにね。
そんな状態だったので美容院に行くときはお気に入りのオモチャを持参。これで気をまぎらわせてるうちにカットしてもらうんだけど、最後までおとなしくしてくれたことはほとんどない。オモチャは数分しかもちません。
そんなときはYouTube!!スマホで動画を再生したら画面に集中するので、一気にカットしてもらいます。
はじめからこうすれば早いんだけどね。この頃はテレビやYouTubeをあまり観せたくなかったので最終手段になってました。
【触覚の発達を促すためにしたこと】
●しまじろうのパペットマペット
しまじろうを持った私と息子が向かい合わせに座ります。
①「右の手にタッチするよ。」と伝えたら、しまじろうの両手を息子の右の手のひらにタッチ。触られてる部位に関心をもっているのを確かめたら次に進みます。
②「つぎはこっちに(左の手)タッチするよ。」と伝えて、しまじろうの両手を左の手のひらにタッチ。
同じように『にぎる』『なでる』をしたら、他の部位もさわっていきます。
右手→左手→右うで→左うで→右ほお→左ほお、そして頭。
耳、肩、背中はくすぐったがって上手く出来ませんでした。
ここでは左という単語は使っていません。まだ右と左がよく分かっていないので、ややこしくならないように右の単語だけを使ってます。
スポンジを肌に押し付けるということもやってみたけど痛がったので止めました。
●手あそびうた『アルプス一万尺』
息子は手あそびうたのなかでも、これがいちばん好きです。
ふたりでする遊びなので、ひとりでするよりも楽しさ倍増。
向かい合う相手の左右と自分の左右が違うから手を出すのが難しいよね。だけどお互いの手をしっかりタッチすることができます。手をにぎって上下にブンブンふり回しながら「せっせっせーの、よいよいよい」と歌うだけで息子は大爆笑でした。
手あそびは歌と動作がひとつになってるから反射機能がよくなるし、心の安定にもつながるんだって。
●ギューしてはなれてヨシヨシ
抱きしめて(ギューして)はなれて頭をなでる(ヨシヨシ)という動作を一緒にやります。
正面から頭をなでられるのが苦手なようなので、これでちょっと慣れてくれたらいいな~。
●馬のマネをする
これはいったいなんのこっちゃって感じですよね。
息子と向かい合わせになって少し離れた場所に立ちます。
「カカッ、カカッ、カカッ、カカッ」と言いながら足を後ろに小さく蹴って、「ヒヒーン」と叫びながら息子のもとへ突進。この姿が面白いのかゲラゲラ笑う息子。
「もう一回、もう一回!」とよくねだってくれるし、リクエストも多かったです。
●メロディーを口ずさみながらくすぐる
息子と向かい合わせに座ります。
ジョーズのテーマ曲『デーデン、デーデン、デデデデデデデデ』を口ずさみながらメロディーに合わせて腰から首までタッピング。
どの方法も楽しく取り組めるように面白おかしくやってみました。
【園で取り入れてくれたこと】
●先生や友だちとの信頼関係
●いったん息子の名前を呼んで、「〇〇(体の部位)さわるね。」と伝えてから触るようにする。
【結果】
年少では友だちからのボディタッチや手をつなぐことが苦手だった息子。
年中では苦手意識がやわらいできたのか、友だちとのスキンシップを楽しめるようになりました。まだボディタッチは苦手だけど手をつなぐのは克服。自分からすすんで手をつなぎにいきます。
年長になると友だちからのボディタッチを怖がらなくなりました。でも好きではないみたい。
卒園式後みんな思い思いに過ごしているとき、一緒に写真を撮ろうと息子の肩を組みに来た男の子がいました。大好きな友だちなんだけど息子の体は少しこわばり気味・・・。
『こういうのは苦手だけど、キミがそうしたいならいいよ。』というような感じで苦笑してる。
どうなることかと心配だったけど、成長と共に人との触れ合いに慣れてくれました。
年少→年中→年長の写真を見くらべてみたら、友だちとからんだり笑ってる写真が増えているんです。楽しい園生活を送れたようで本当に良かった。
正直、発達を促すために取り組んだことが効果あったのかは分かりません。どれもすぐに結果がでたわけでもないし、あまりトレーニングとして意識してなかったからです。じっさいここまでくるのに三年ちかくかかってるしね。息子とのスキンシップや遊びの一環として取り組んでたけど、最終的には結果オーライでした。