ABA(Applied Behavior Analysis 応用行動分析学)を自宅で実践した記録です。
息子のユウが4才のときに【自閉症スペクトラム】と診断され、そこからABAの療育が始まりました。
いろんな方法を試しながら息子に合ったトレーニングを模索する毎日です。得意なことはどんどん伸ばしていきたいし、苦手なことはしっかりサポートしていきたい。こだわりの強い息子と過ごす日常やトレーニング内容を書いていきます。
わたしたち家族は方言をあまり使いません。できるだけ共通語で話すようにしています。
わたしたちが住んでる地域の言いかたって、ふつうに話していてもきつく聞こえてしまうんだよね。キツイ=あらいって感じかな。
夫が関東に住んでたときの話なんですが、同僚や先輩にしょっちゅう『話しかたがキツイ。』だの『怖い。』だの言われ続けてたそうです。それがイヤでイヤでしょうがなかったんだって。
そんな夫は妊娠する前から「子どもには自分と同じ思いをさせたくない。」と言ってました。これには私も激しく同意。息子の妊娠がわかった時点で、私たちは共通語を話すようになりました。これがまた難しいやらこっぱずかしいやら・・・。
もともとがっつり使ってたわけじゃないけど、意識しないとバンバン方言がでてきてます。
しかも共通語だと思ってた言葉が実は方言だった・・・なんてこともしょっちゅう。イントネーションやアクセントは不自然さありまくりです。
方言を共通語にかえるとこんな感じ。
『〇〇、忘れてるで。』→『〇〇、忘れてるよ。』
『お手洗いに行こら。』→『お手洗いに行こう。』
『おなかおっきい。』→『おなかいっぱい。』
『どこ行くん?』→『どこに行くの?』
『早よ来てな。』→『早く来てね。』など。
語尾を言い換えるだけなのにけっこうニュアンスが違います。
方言だと物の名前も違ったりするみたい。
『水セッタ』→『サンダル』
『アイス』→『クリーム』
『にえた』→『青あざ』
あとは「かぜ」が「かで」、「サラダ」が「サラザ」とかね(笑)。
そんなこんなで共通語を意識するようになってから、早10年(正確には9年)・・・。
あの頃はふだんの自分とちがう話しかたに恥ずかしくなったり、発音がおかしすぎて『カタコトで日本語を話す外人さんみたい(笑)。』と自分で自分にツッコミを入れたり。とにかく慣れるのに時間がかかりました。
そしてもちろん息子も共通語で話します。
こども園での友だちはガッツリ方言を使っているので、息子がマネすることもよくありました。そんなときは方言から共通語に言い直してもらいます。
『なにしとんねん。』→『なにしてるの。』、『わからん。』→『わからない。』とかね。これらの言いかたはよくしてたなぁ。
また方言で話しかけられて息子が怖がる場面もありました。
先生やお友だちの言いかたがきつく感じたようで『怒られた、怒鳴られた。』と捉えてしまったんです。方言の免疫がほとんどないからムリもありません。
何回かこんなことがあったので、私たちも共通語ではなく方言にかえたほうがいいんじゃないかと悩みました。
そんなとき、息子が発達障害の自閉症だと診断されたんです。
かかりつけ医や療育の先生がたは共通語で話すので、やっぱり共通語でとおすことにしました。
息子もそのほうが先生たちの話を理解しやすかったし、なによりも指示がとおりやすいので家庭療育がやりやすかったです。
こども園での個人面談で先生たちにそれらのことを説明すると、可能な範囲で方言を使わないように協力してくれました。
友だちの言いかたが怖く感じてしまったときは、先生が共通語に言い換えてうまくフォローしてくれたんです。
そのおかげで友だちともめることなく園生活を送ることができました。本当に有り難かったです。
そして今・・・、息子は小学校二年生。あいかわらず方言を使わないようにしてますが、だいぶゆるくなりました。
それは息子が共通語と方言を使い分けるようになったからです。
園児のときまでは息子が方言を話すと言い直させていましたが、今は自分で気づいて「あ、間違っちゃった。」と言い換えています。
そしてよっぽど言葉がきついと感じないかぎり言い直しをさせません。というより、そんな必要がほとんどないくらい息子の話しかたは優しくておだやかなんです。
むしろ私たちのほうが話しかたに気をつけなくちゃいけないくらい。息子から言いかたを注意されることもよくあるので(笑)。
将来、息子がどこでどう暮らしていくのかは分かりません。
でもいまのところ、「子どもには自分と同じ思いをさせたくない。」という夫の願いは叶いそうです。